姿勢を正して深く呼吸する方法

お葬式でお坊さんからお聞きした『姿勢と呼吸』のお話をご紹介したい。
時に予期したくもなかった悲しい出来事が起こると、悔恨や不安などが入り混じった悲しみがココロに押し寄せてきます。そんな洪水のような感情に対して、どう向き合うか?ココロとカラダの技法として、背筋を正して深く呼吸するやり方を伝えていただきました。
荒波に巻き込まれているような台風の真っ只中にいる時、このやり方が一つの支えになるかもしれません。私にとっては悲しみに向き合う最善の方法でした。やり方は単純で簡単です。しかし背筋を正し、深く長く規則正しく呼吸するのは中々難しいもの。
是非ご自身で試して、カラダを通してココロを落ち着かせアタマを明晰にする効用を感じていただきたい。

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姿勢と呼吸のやり方

では、やり方の説明から。

椅子に腰かけて、
背筋を真っ直ぐに伸ばして、
出来るだけ深く長く呼吸を繰り返す。

たった3行で終わってしまう簡単な技法ですが、ひとつひとつの動作をより注意深く行うことで、心理的な効用が得られていきます。しっかりと実施できるよう動作段階ごとに順を追ってやり方とポイントをお伝えしていきます。

大きく分けると3つのステップに分かれます。

STEP1 背筋の調整
STEP2 呼吸の調整
STEP3 アタマとココロの調整

段階ごとに着実にクリアしていき完成度を高めていきましょう。

 

STEP1: 背筋を伸ばし、真っ直ぐに座る

【準備編】
① 椅子に腰かける
② 背筋を伸ばす

ここまでが準備、まずはリラックスして自然に背筋を伸ばした座り方をします。それから姿勢を真っ直ぐにしていく調整を行っていきます。

 

【調整編】
③頭の上に紐がある

お尻から首まで繋がっている背骨を、お尻から背骨が真っ直ぐに立たせるようにします。

ここでイメージしたい欲しいのが頭の上に紐がついた人形。自身の頭の上に紐がついていて、上に向かって引っ張られるようなイメージをします。紐が真上方向へ持ち上げられて、背筋が自然に真っ直ぐとなるような感じで、ぐっぐっと調整を重ねます。
肩や背中・お腹に過度に力を入れた状態ではなく、上半身全体がリラックスした状態で行います。自分を操り人形に見立てて、紐を引っ張ったり、緩めたりして、ベストな背筋の位置を探りましょう。

 

④お腹を引き締める

お腹を凹ませるように力を入れます。背骨を立たせる動作をすると、前向きに力がかかりますが、お腹に力を入れて引き締めることで、後ろ方向に力がかかります。前と後への力が両側から加わることで、自然に座った時とは違ったバランスのいい背骨の位置が分かるでしょう。調整し終わったら、お腹の力は抜きながらも、背筋は同じ体勢を維持します。

 

⑤胸をやや張りだす

両肩をやや後ろに引き寄せます。肩甲骨を合わせるように、少しグッと胸を張り出します。やや胸を張り出すことで、背筋の上の方がより伸びる感じになり、この後に行う呼吸作業で呼吸量が増えるようになります。

ここまで調整で背筋は真っ直ぐというより、緩やかなカーブを描きます。もっとも背筋が伸びていて、座高が高くなっている姿勢になっていればベスト。

 

⑥鏡で客観チェック

イメージでは背骨を真っ直ぐしますが、実際の背筋のカタチは緩やかなカーブを描き、背骨は真っ直ぐになるより、お尻からの立ち上がり部分はやや前向きに倒れ、背筋の中心あたりから後ろ側に傾きはじめます。
この緩やかなカーブの調整判断が、難しいところ。人により骨格が違いますから、それぞれベストなカーブ加減が違いますので、最適なカーブは各々見つけ出す必要があります。

姿勢は自分では前面を見下ろすアングルしか見えないため、客観的なチェックが大切です。自身のイメージでは、リラックス出来ているし真っ直ぐな背筋になっていると思っていても、いざ鏡で見ると実際との違いに驚くものです。

注意したいのは、過度に背筋がカーブし過ぎる『反り腰タイプ』や、前屈みになる『猫背タイプ』の背筋。 体幹筋力の変化や日々の姿勢の癖で、いつの間にかに定着する背筋のカタチであり、過度な湾曲は腰痛や肩こり、体の疲れの原因になります。

ですから大切なのは、自分の想像上の姿勢と実際の姿勢を客観的にチェックすること。全身を映せる鏡で姿勢を確認してみましょう。適当な鏡が無ければ、スマホ撮影で代用できるので是非試してみてください。スマホのカメラを映像モードにして、椅子を撮影できる場所に置き、座る姿を撮影します。

あれ、思っていたより不自然な姿勢だな、と客観チェックで初めて気づくことも多いもの。

姿勢は日々の姿勢の癖や筋力によって変わっていきます。姿勢調整の最後に、自分の姿勢を客観的にチェックするようにしましょう。人に見てもらって、外から見た最適な体勢を指示してもらうのもオススメです。

 

STEP2: 深く呼吸する

姿勢が出来たら、次は呼吸する段階です。腹式呼吸という方法で、お腹の力を活用して、1回1回の呼吸をより深くより長くするようにします。

集中したい場所が『丹田』と呼ばれるカラダの中心を意識すること。

お臍から指2~3つ分ぐらい下の場所が丹田にあたります。「丹田に力を込める」という表現がありますが、まさにこの臍下部分に意識を集中して力を込めることを指しています。

腹式呼吸では、丹田に意識を集中しながら、お腹を凹ませる力を使って息を吐き出し、お腹を膨らませる力を使って息を吸い込みます。お腹を使って呼吸することで肺活量が増え、呼吸スピードもコントロールしやすくなります。
吸い込む段階ごとにポイントが変わっていきますので、段階ごとにゆっくりと実施していきましょう。

 

①丹田を指で軽く押す

お臍の片手を添えます。お臍のすぐ下に人差し指をあるようにし、中指で軽く押し付けます。押したエリアが丹田ですので、中指で押すことで意識しやすくなります。

お腹を凹ませる際には、丹田を引っ込める。
お腹を膨らませる際には、丹田を突き出す。

そんなイメージで丹田でお腹をコントロールするように意識します。

 

②息をゆっくりと吐く

まずは肺にある空気から吐き出しはじめて、次に徐々に丹田を凹ませながら、お腹の力全体で息を吐き切ります。

胸部あたりの肺の上の方から、徐々に下腹部の空気を出していくようなイメージで行います。上の方は上半身の上部の力で、下の方は腹の力で出すようにします。肺という袋を腹の力で押し絞り込んで、中の空気を外に出す感じで。

ポイントは、一気に早く吐き出そうとせずに、出来る限りゆっくりと長く吐き出すこと。

スピードを緩めにくいようなら、口をすぼめることで、吐出し量を少なく出来ます。キスをするような形で、口を小さくすればするほど、スピードコントロールがしやすくなります。ですが、あくまでスピードコントロールは腹の力でするように心がけます。

そして最後にもうこれ以上は肺に空気がない!という状態までお腹全体を引き締めて、絞り出します。
このときお腹は最大限に凹んでいるカタチになります。

・肺の上の方から空気を出す
・肺の下の方は腹を引っ込ませる力で出す
・吐き出すスピードをゆっくりとさせる
・口をすぼめる
・最後のひと絞りまで、腹を最大限に凹ませて出す

 

③1~3秒キープする

最大限まで吐き出してから、直ぐに吸い込み作業に入らずに1~3秒の間、MAX状態を維持します。
いきなり一気に吸い込んでしまわないように、吸い込み作業への切り替え準備の「間」だとお考えください。

 

④息をゆっくりと吸い込む

吐き出す時とは逆の順番で、お腹を膨らませながら肺の下の方に空気を入れて徐々に肺の上の方へ空気を送り込んでいきます。

下腹部が膨れた感じになったら、胸部の肺を広げて吸い込みやすくします。肺の上部の空気が入りはじめると胸部が中から押し広げられて、やや胸が左右に広がる感じを受けるでしょう。

そして忘れがちな最後のひと絞り作業を必ず行います。下のお腹も、上の肺も、いっぱいですが、まだまだ空気は吸い込めます。お腹を凹ませはじめて、肺全体に空気が入るように、吸い込みを続けます。重要なのは、吸い込みの時も、最大限までやろうとすると、お腹が凹むことです。

吐き出すときも、吸い込むときも、最大限の時にお腹は凹んだ状態になります。もちろんお腹の見た目は、吐き出し時より吸い込み時の方が大きくなりますが、意識としていずれも凹ませるようにしましょう。

・まず、お腹に空気を入れる
・次に肺の上部に空気を入れる
・更にお腹を凹ませて最大限まで吸い込む
・スピードは出来るだけゆっくりと
・口をすぼめる

慣れてきたら鼻から吸い込み、口から吐き出すパターンも試してみてください。鼻での吸い込みはスピードコントロールが難しいため、腹の力を養ってから実施するのをオススメします。

 

⑤1~3秒キープする

最大限まで吸い込んでから、直ぐに吐き出し作業に入らずに1~3秒の間、MAX状態を維持します。いきなり一気に吐き出してしまわないように、吐き出し作業への切り替え準備の「間」をつくります。

 

⑥以上を繰り返す。

はじめて行うなら、10回の呼吸を全体何秒かけて行ったか、開始と終了の時間を計測します。慣れれば慣れるほど、時間を長くできるようになります。長さに比例してココロの中の静寂の時間も長くなるでしょう。

 

STEP3: アタマとココロの調整

ここからの作業は呼吸を繰り返しながら行うアタマとココロの作業です。

考えごとを止めて、呼吸する作業に没頭します。頭を真っ白にしようとすることに力を注ぐのではなく
ただ、姿勢をキープし、呼吸を深く、ゆっくりと行うカラダの動きに集中するようにします。

頭に思いつくことはそのまま放っておいて、自由にさせておきます。意識は丹田を中心にしたお腹の動きをきちんとさせることのみに。吐き出し吸い込む呼吸のリズムが整ってきたら、いったんの完成。

ここから先はわかりません。私は向き合いたかった事に時間を費やしました。

 

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お坊さんの前置き話

お坊さんは、この姿勢と呼吸のお話をする前置きに、悲しみの種類について話してくれました。最後に以下参考に。詳細は私の解釈が入ってしまっているので悪しからず…

悩みには時間軸で分けると3つある

過去、現在、未来

過去の悩みは、反省であり、悔恨、悔いの感情
未来の悩みは、心配であり、不安、恐怖の感情

3つの時間軸でもっともつらい悩みは「未来」にある

未来に向き合うと、際限なく不安は広がる。
開けっ放しにした水道のように、不安の感情がどんどんと積り、終いには抱えきれずに漏れ出してしまう。
さらに過去への悔恨も、未来への思考と同様に、とめどなく考えを繰り返させて増長させてしまう。

悲しい時には未来も過去も考えずに、ただ現在に向き合う。
体を動かし何かをするのが一番。

重い荷物を持っていたり、走り続けたり等、何かの作業を続けることは肉体的にきついこと。しかし、その辛さは肉体的なカラダの辛さであり、ココロの辛さの色合いは薄い。もっとも辛い悩みは、将来に対する不安であり、次に過去、考えれば考えるほど色濃くなる。同じ思考を繰り返し、その果てに不安をより大きくしてしまう。

ココロを軽くする唯一の方法は、現在に集中し、現在の作業に心身を没頭させること。
何かの作業に集中して、一心に体を使って没頭する。
自らの体に、自らを任せる

カラダを使って今に集中することで、
ココロを軽くして現実に向き合える。

 

呼吸と姿勢はすべての土台

この呼吸方法は様々なトレーニング手法で活用されています。
例をあげると、座禅、ドローイング、ヨガの呼吸法、美木良介さんのロングブレスなど共通するやり方です。いずれも肺活力を最大限にし呼吸を深く、呼吸スピードをゆっくりとコントロールすることに主眼が置かれています。

姿勢を正して深く呼吸すると何がいいのか?
何のために?
何の効用があるのか?

据え方はいくらでもあると思います。
基本的な人間の所作、自身で試して納得するのが一番。

是非お試しあれ!

 

今日もいい筋トレを!