同じ物を食べているのに、どうして自分だけ太るだろう?そんな太りやすさに個人差を感じていた方に納得の”肥満遺伝子”の存在が明らかに。さらに日本人の肥満遺伝子の遺伝率は世界でも有数な高い数値だったのです。

日本人の3人に1人は肥満遺伝子を持つ

門脇孝氏の「あなたがメタボになる理由”肥満遺伝子”が日本人を太らせる」によると
エネルギー消費を抑えて、浮かせたカロリーを脂肪として蓄えてしまうという”肥満を招く遺伝子”があるといいます。

同じ物を食べているのに、どうして自分だけ太るだろう?
と思っていた方は、やはり体質的な問題があったのだと納得感をいだくのではないでしょうか。

さらに、肥満遺伝子には複数種類あって、中でも”β3アドレナリン受容体”という遺伝子を
日本人の約35%の人が親から受け継いでいるといいます。

約35%の遺伝率ということは、日本人の3人に1人は肥満遺伝子を持っていることになります。

さ、さらに、、この約35%という数値は、世界でも有数でなんと2番目

日本人のポッコリお腹をつくっていた一端の原因は、この肥満遺伝子だったのです。

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肥満遺伝子の生まれた背景

人類の歴史は飢餓の歴史といわれています。
現在のように飽食で運動不足が叫ばれるような時代は、長い人類の歴史の中では非常に稀で、ここ半世紀のことでしょう。
カラダは常に飢餓を前提として設計されて、少ない栄養で大きな活動ができるようずっと進化し続けてきました。

肥満遺伝子も飢えとの戦いの過程で生まれた産物であり、
別名で”倹約遺伝子”と呼ばれています。
消費を抑える働きがあり、少ないカロリーで大きな活動ができるため
飢餓の時代においては生存に非常に有利でした。

しかし、今の時代においては悪玉の遺伝子として扱われるようになってしまいました。

飢餓の時代は、倹約家で善玉としての役割があったのが
飽食で運動不足の環境においては反対に肥満を促進させる悪玉の遺伝子となってしまったのです。

 

肥満遺伝子60種類のうち、注目の2つ

肥満遺伝子は「遺伝子多型」のひとつで、特に珍しいわけではなく多くの人に現われる遺伝子の変異です。
肥満遺伝子は60種類あり、なかでも注目されるのが”β3アドレナリン受容体多型”と”UCP1遺伝子多型”の2つ。

「β3アドレナリン受容体遺伝子多型」とは?

β3アドレナリン受容体は、脂肪細胞や筋肉などの表面にあるたんぱく質で、
脳から分泌される神経伝達物質のシグナルが伝わると脂肪細胞で脂肪の分解を促したり、脂肪を燃やします

β3アドレナリン受容体の多型の場合には、脳からのシグナルがうまく伝わらなくなって、
脂肪細胞で脂肪の分解しなくなり、やがて余分な脂肪がお腹をぽっこりさせることになるのです。

この”β3アドレナリン受容体多型”は前述したように、日本人における遺伝率は約35%で、
日本人の3人に1人はこの肥満遺伝子を親から受け継いでいます。

「UCP1遺伝子多型」とは?

UCP1遺伝子は、褐色脂肪細胞の表面にあるたんぱく質で、脂肪を燃焼させて熱に変えています
ちなみに、褐色脂肪細胞とは、脂肪細胞のひとつで脂肪を燃やすのが主な仕事、脂肪細胞の1%を占めています。脂肪細胞の残りの99%は脂肪を溜める白色脂肪細胞になります。

しかし、”UCP1遺伝子の多型”の場合には、脂肪が燃えにくく、太りやすくなってしまいます
いずれも、脂肪が燃えにくくする、脂肪の分解をしにくくする、という消費エネルギーを抑える作用があるのです。

 

肥満遺伝子があると、基礎代謝が1日およそ200Kcal低くなる

「β3アドレナリン受容体遺伝子多型」があると、基礎代謝が1日およそ200Kcal低くなります
基礎代謝とはじっと横になっているときでも消費されるエネルギー代謝で、1日に使われるエネルギーの70%を占めます。
日本人の基礎代謝は、20~30代の成人の場合、男性が1日1500Kcal、女性が1日1200Kcalです。
このうち、200Kcal分のエネルギー消費量がそれだけ下がり、逆に摂取カロリーが余ることになるのです。

200Kcalってどのぐらい?

200kcalを「スポーツ」にすると、女性の場合なら
・水泳クロール10分
・ランニング20分
・ウォーキング45分

「食べモノ」とすると
・マクドナルドポテトS1袋
・コーラ1本 500ml
・ビール中瓶1本500cc

という内容になります。
スポーツなら1日ごとに運動していないこと
食べモノなら1日ごとに食べたこととされてしまうということです。
この違い、肥満遺伝子の有り無しで、積み重なればかなりのカロリー差ができてしまうのが想像できます。

1年での差を考えた場合

200Kcal×365日=73000Kcal
73000Kcal÷7000Kcal(脂肪1キロ分)=約10キロ

肥満遺伝子のありの人の場合、1年で10キロ分の余計に太る可能性があるということになります。

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肥満の遺伝的な要因は3割、後天的な生活習慣が7割

なんだか、肥満遺伝子があったら肥満の原因のすべてのように感じられてしまいますが、
太っているか痩せているかは、遺伝的より生活習慣の要因の方が大きいのです。

肥満の遺伝的な要因は30%~40%であり、60%~70%は環境、生活習慣にあるといいます。

実際のその例がピマインディアンによる観察結果で分かりましたので最後にご紹介。

ピマインディアンに見る遺伝子VS生活習慣

日本人よりβ3アドレナリン受容体遺伝子多型を受け継いでいるピマインディアンの2つの生活スタイルの変遷をみて、
遺伝子と生活習慣のどちらが影響をあたえるのかみていきましょう。

ピマインディアンは、アジアからアメリカ大陸に渡った民族で、日本人よりβ3アドレナリン受容体遺伝子多型を受け継いでいます。
より肥満遺伝子を受けついていると言う点は日本人以上にいい実験ケースですね。

大陸に渡ったピマインディアンは、2つの箇所に分かれて定住しました。
ひとつのグループはメキシコの山岳地帯へ、もうひとつのグループはアメリカのアリゾナ州に。

メキシコの山岳地帯のグループは、農業・酪農中心で山を歩き回り、芋や豆が主体の質素な食事スタイルです。
アメリカのアリゾナ州のグループは、政府の生活保護を受けて、食事はファーストフード、どこへ行くにも車に乗る運動不足な生活をしていました。

結果、アメリカのアリゾナ州のグループは70年代までに成人の9割が肥満。
逆に、メキシコの山岳地帯のグループは肥満の人は稀だったといいます。

肥満の遺伝的な要因は3割、後天的な生活習慣が7割
後天的な生活習慣こそが重要なことが分かる観察結果です。

 

なぜ日本人に肥満遺伝子の遺伝率が高いのか?

ピマインディアン  ・・・ 55%
日本人 ・・・ 35%
米国白人 ・・・ 15%

※データ参考 門脇孝「あなたがメタボになる理由「肥満遺伝子」が日本人を太らせる」

日本人やピマインディアンが、欧米人よりも食料事情が良くない過酷な環境で生き抜いてきた名残と考えられているようです。

肥満遺伝子検査キットがというのがある

肥満遺伝子検査キットという、自分の肥満遺伝子の対応を検査するグッズがあるようです。
本ページで取り上げた「β3アドレナリン受容体遺伝子多型」と「UCP1遺伝子多型」も検査できるように取り上げられてしました。

気になる方は「肥満遺伝子検査キット」で検索してみてください。

 

IT化によるデスクワークの増加はお腹を膨らませている

さらに昨今の日本人のお腹ポッコリ度を高めているのは、パソコン作業時間の増加でしょう。
これによって、立って動く運動の時間が減って代謝が落ち、更に人によっては、腹に力を入れずに猫背で作業、もしくはイスにどっかり座ってお腹まわりの筋肉を使わなくなれば、自ずとポッコリしてきます。
腹まわりの筋力の低下がお腹を膨らませるのです。

 

ポッコリお腹は現代の習慣病
遺伝子は変えられないが、習慣は変えられる

飽食で運動不足が当たり前の時代、ポッコリお腹は現代の習慣病と言えますね。
きっとカラダも、いきなり飽食になったしまったこの変化にびっくりしているはずです。

・運動量を増やすこと
・過食をやめること

この2つで、肥満遺伝子に打ち勝ちましょう!

よいお腹を!