お尻の筋肉である大臀筋を強化できるヒップスラスト、バーベルを腰に置いてお尻を突きあげるトレーニングです。お尻力をアップさせるメニューの中で最も効果的で、欧米の女性に人気の種目。なぜか日本ではあまりやっている人がおらず、お尻力で差をつけるならこっそりヒップスラストを取り入れたい。お尻にもっと集中したかった人へ届けたい、有能メニューをご紹介。

やり方・手順 狙いの筋肉 参考動画
ポイント解説 目的別の回数・負荷・頻度の算出
15秒ネット漫画サイト IKECO

ヒップスラストで鍛える筋肉と効果

お尻に狙いをフォーカスできる
お尻の筋肉は大殿筋(大臀筋)、大殿筋のトレーニングといったらヒップスラスト、そういえるほどお尻への効き具合が凄いメニュー。お尻の力を使って全力で空に向かって重量を突き上げる動作はまず日常では味わえない、お尻に効いて感を堪能できます。

お尻のメニューにはスクワット・デッドリフトやランジなどがありますが、太ももの筋肉の方が優勢になりがちで、お尻の関与は下位の序列に。お尻にもっと負荷を!お尻に王座の負荷を!と願っていた人への朗報メニューでございます。

丸みのあるヒップ作りが可能
ヒップは形が重要。垂れ下がらないようヒップアップをさせつつ、お尻の筋肉の上部に筋肉をつけて丸みがあるお尻に。欧米系の人に特徴的な背中から急激に立ち上がっているヒップづくりができます。太ももはあまり鍛えたくないけれど、ヒップアップはしっかり行いたいという女性にもオススメのメニュー。

足を長く見せる効果も期待
お尻がしっかり持ち上がると後ろから見た時に足が長く見えます。足の長さや後姿にコンプレックスがある方ならお尻の補正ができるヒップスラストは外せません。

メインターゲットの筋肉 大臀筋 ★★★

 

ヒップスラストのやり方

体育座りのような体勢で、背中をベンチにおいて、足をまげた状態で、バーベルを股関節あたりに持ってセット完了。そこからお尻を突き上げてバーベルを持ち上げます。お尻の力だけで持ち上げるようにするのがポイント。

【セット手順】

1.バーベルにウェイト(プレート)をセット
2.ベンチの前に膝を立てて座り、ベンチにもたれかかる

肩甲骨あたりをベンチにつける

3.足を広げる幅は腰の横幅ぐらいにし、膝は直角にする
4.バーベルを太ももの付け根あたり(股関節あたり)に乗せる

バーベルに両手を軽く添える

【スタート】

5.腰を持ち上げて、バーベルを上げる

お尻をしめて、踵(かかと) でバーベルを持ち上げるイメージ

6.胴体が床と水平になる高さまで持ち上げる
7.一秒~三秒キープ

お尻をギュッと締める

8.ゆっくりと元の座った姿勢へ戻していく

 

 

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ヒップスラストのポイント

バーベルを股関節にのせる
バーベルの位置を安定させることで、効果的にお尻の筋肉に負荷をかけることができます。
持ち上げている最中にバーベルがお腹の方へ移動しないように、バーベルの位置をキープでるよう軽く両手で押さえるとやりやすくなります。
持ち方はオーバーハンドグリップで、バーベルを下に抑えるようにします。バーベルを直接股関節あたりに上にのせると痛いので、バーベルにパッドを付けるか、タオルのようなクッションを挟むといいでしょう。

ベンチには肩甲骨をつけて、肩甲骨あたりで上半身を支える
ベンチは動かないよう固定台がオススメ、固定されていないと簡単に動いてズレてしまいケガにつながってしまいます。ベンチが固定式でない場合は、ベンチ台の脚まわりにプレート置く・壁にベンチをセットする等の工夫をして動かないように。

クッションを挟む
バーベルを直接乗せると動作中に痛みを感じますので、バーベルとの接触ポイントにクッションを挟むといいでしょう。

足の位置は最もお尻に効く位置を探る
足の位置は腰幅が目安。ただ個人差がありますので最もお尻に効く足の位置を探してみてください。お尻の方のベンチ寄りに足に置いた方が ふとももの筋肉である「ハムストリングと大腿四頭筋」の関与を最小限に抑えてお尻の筋肉である「大臀筋」に負荷を集中させることができます。
足をベンチから離れ過ぎると背中の負担が大きくなりお尻の筋肉への負荷が弱まってしまいます。

トップポジションまでお尻をギュッと力を入れる
お尻の筋肉である大臀筋をしっかり使いたい種目ですから、持ち上げる際にはギュッと引き締めるようにお尻の力を入れること。お尻を締める動作によって自然と腰を上げやすくなります。

背中を反り過ぎないよう
勢いで持ち上げる反動で腰が持ち上がり過ぎて背中が反ってしまいます。持ち上げる位置は胴体が床と水平になる高さまで。腰の力ではなく、お尻の力でで持ち上げるように。下半身全体を使って初速の反動で持ち上げてしまうと効果が激減してしまいます。

太ももの力を使わない
太ももの力、特に前ももを使って持ち上げないように。太ももで頑張ってしまう時は重すぎるのが原因ですから重量を落としましょう。

顎(あご)を上げない
持ち上げた際に顎を上げないように、顎は引いた状態をキープ、顎が上がった状態になると腰・背中が反りやすくなります。

腰を痛めないよう
ヒップスラストは腰を痛めやすい種目です。足をベンチから離し過ぎて行うと背中に負荷がかかり腰を痛める原因に。胴体を安定させる体幹の力も基礎体力として必要ですので、合わせて体幹トレーニングを行うといいでしょう。

関連メニュー
ルーマニアンデッドリフトと組み合わせると、お尻と脚の裏の強化につながり、お尻と後ろももの引き締め・強化にうってつけ。さらにスクワットとデットリフトを組み合わせると最強な下半身トレーニングのセットメニューに

 

ヒップスラストのセット方法

①目的から効果的なセット数をみつける

3つの目的パターンによって、回数と重量が算出できます。まず最大筋力である1RMを割り出して目的に合う回数と重量を割り出しましょう。それぞれ3セット想定です。

筋肥大(筋肉を大きくする) 10~15回 最大筋力の60~80%の重量
筋持久力(筋肉を引き締める) 20~60回 最大筋力30~50%の重量
パワーアップ(重量を扱える) 5~10回 最大筋力80~90%の重量

例:筋肥大 → 10~15回×最大筋力の60~80%の重量×3セット

②最大筋力・1RMを測定する

まず、だいたい10回出来そうな重量を選び、何回できるか最大限までチャレンジします。その結果から最大筋力を割り出して負荷を割り出します。

1回・・・1.00 4回・・・1.14 7回・・・1.26 10回・・・1.38
2回・・・1.06 5回・・・1.18 8回・・・1.30 15回・・・1.61
3回・・・1.10 6回・・・1.22 9回・・・1.34 20回・・・1.94

例えば:ヒップスラスト 20kgを8回 → 係数1.3
→ 20kg×1.3=26kg → 最大筋力26kg

筋肥大は最大筋力の60~80%の重量
→ 26kg×60%=15.6kg
15kg×10回を3セットでSTART

③インターバル時間を知る

インターバルも3つの目的パターンによって変わってきますので目的に合った最適なインターバル時間を把握しましょう。

筋肥大 30秒~3分・長くなりすぎないよう
筋持久力 30秒~5分・息が整ってから
筋力・パワーアップ 4分以上・充分疲れがとれてから

④頻度は超回復時間の目安に合わせて

大臀筋の休養目安は24時間ですから休養させるために1日空けるのが目安です。

大きな筋肉 広背筋・ハムストリング・大腿四頭筋 中3日以上
中ぐらい筋肉 大胸筋・上腕・肩・体幹系 中2日以上
小さな筋肉 腹筋・前腕 中1日以上

 

参考にしたいヒップスラスト動画

 

お尻力を突き上げる突出メニュー

お尻の筋トレメニューは数が少ない。しかもどのメニューでも大臀筋の活躍は他の筋肉の2番手・3番手であり決してナンバー1ではない。お尻だけ鍛えたい人にとっては別の筋肉をより強化させなければ狙いが育成できないという構図は許せなかったことでしょう。ヒップスラストはいつも後手だった大臀筋がセンターで活躍できる唯一のメニューであり、お尻派の鬱憤を一気に晴らしてくれる素晴らしいトレーニングなのです。

やり方・手順 狙いの筋肉 効果 参考動画
ポイント解説 目的別の回数・負荷・頻度の算出

ヒップアップの秘訣はお尻の上部を鍛えること。お尻の下部を鍛えると下手するとヒップが大きくダウンしたように見え単なるデカ尻に。ヒップスラストはお尻の上部を鍛えられる数少ないメニューのひとつ。

よいお尻力を!