バーベルやダンベルを手にしたなら、誰しもが最初に試してしまうフロント・プレス。バーベルを頭上に上げるというシンプルな分かりやすさがとてもいい。肩と筋トレとして、特に「前肩」をボリュームアップさせる筋トレとして有能なメニューです。では、さっそく解説を!
フロント・プレスのやり方
【ザックリ編】
まずスタート時点でバーを鎖骨の上あたりで保持するようにします。
その際、両肘をバーより前に出し、腰と脚を伸ばします。
それから、バーベルを頭上にまっすぐと伸ばし上げて、元の構えの姿勢まで戻します。
腰の負荷が高いため、背筋と背筋といった腹まわりの筋肉を緊張させて、上体を反らないようにします。
フロント・プレスで鍛えられる筋肉・効果
大きな分類
肩の筋トレとして有効です。
特に「前肩」の筋肉トレーニングになりますので、肩の力の養成・ボリュームアップを図りたい人にオススメのメニュー。
鍛えられる筋肉
三角筋 ★★★
上腕三角筋 ★★
僧帽筋 ★★
棘下筋 ★
効果がある動き・作用
持ち上げる
フロント・プレスのやり方
【詳細編】
1、握り方
肩幅よりやや開き目で、オーバーグリップで握ります。
2、バーを鎖骨の上にセット
バーを鎖骨の上あたりのポジションに持っていきます。
鎖骨にはのせません。
3、両肘をバーより少し前方に出す
両肘はバーの前方に出るようにします。
カラダに垂直になるようなイメージです。
4、腰と脚はまっすぐに伸ばす
腰と脚は曲げずに真っ直ぐに伸ばします。
腰回りの体幹を緊張させて状態が反らずに、真っ直ぐになるようにしましょう。
5、バーベルを頭上に、肘を真っ直ぐ伸ばす
バーベルを上方向へ持ち上げます。
作用する筋肉を体感しましょう。
6、腰が反らないようにする
上げ始めると腰に負荷がかかりはじめます。
「腰が反らない」ようにしっかりと腹周り全体に力をいれましょう。
7、頭上まで持ち上げてキープ
1秒~3秒キープさせましょう。
8、ゆっくりと下す
上げるより下げるスピードはゆっくりとさせましょう。
早く下すと重量がきいてしまい負荷が下がります。
筋肉に効かせるために、ゆっくりと下げましょう。
上げに2秒、下げに4秒といった割合で。
9、バーを鎖骨の上に戻す
最初の構えの位置にバーを戻します。
フロント・プレスで使用する道具・マシン
用具 ダンベル ○
バーベル ○
マシン なし
自重 なし
代替 なし
フロント・プレスの注意ポイント
効かせるゴールデンゾーン・スポットは?
肩付近のエリアとMAX高さのエリアが負荷がかかるゴールデンスポット。
上げ始めの肩付近のエリアでは、三角筋・上腕二頭筋が作用することが体感できるでしょう。
MAX高さのエリアでは、上げるにも下げるにも僧帽筋が力を発揮し、重量の支持をサポートしてくれます。
この2つのエリアでは、ゆっくりと効かせることと作用する筋肉に意識することを心がけてみてください。
事故のリスク
・腰の損傷を防止するために、上体を反らさない
重い重量の場合、腹を突き出して腰を反らしてしまう場合があります。
腰が反ると、腰や脊椎を痛めることになりますので、反らすのは若干で。
背筋と腹筋といった胴体まわりの筋肉を緊張させることで「上体の反らし」が起こらないようになります。
・後ろに落とさないようにすること
後ろに落とした場合、頭や首に落ちて大きな事故につながる可能性があります。
はじめての場合や重い重量にチャレンジする際には、補助ラックの中でやるか、サイドに2人の補助者をつけるか、落とした際の対策を行いましょう。
ケガの予防方法
はじめての場合は、軽い重量で「どんな動きになるのか」をチェックしましょう。
肩の角度、上げる高さによって作用する筋肉が変わっていくのを要体感です。
フロント・プレスの工夫方法
負荷をより強くするなら
・上げ下げのスピード調節
上げる際のスピードアップさせて、最上部でブレずに止めてキープできるようにします。
そして、逆に下げるスピードをゆっくりさせることです。
3秒で上げて、4秒で下げる、2秒で上げて5秒で下げる、といった配分です。
・ベンチに座って行う。
脚や腰のサポートが弱くなります。
足の反動で上げている場合、足の反動利用(チーティング)がなくなりますので、より肩まわりの筋肉で実施するよう集中できます。
「立って行う場合」と「座って行う場合」の違いを試してみることをオススメします。
フロント・プレスのグリップの握り方
握る幅は肩幅よりやや広めで。広すぎると上方への距離が縮まってしまいます。
握り方はオーバーグリップです。
フロント・プレスの回数、重さとセット数の算出
最大筋力・1RM測定方法
補助者がいないと最大筋力が図ることができないメニューです。
失敗が即、ケガや事故につながるメニューですから、無謀な挑戦はひとりではやめましょう。
そこで、ひとりでもできる最大筋力の測定方法をお伝えします。
5回~10回ぐらいの範囲が限度だと考えうる重量を探し出します。
軽い重量で試して、徐々に重さを上げてください。
このぐらいなら「10回は無理だろうな」という重量で測定を行います。
「10回は無理だろうな」の重量で、最大何回反復できるかテストします。
その回数に応じて、以下の1RM想定係数の数値をかけてみてください。
回数 | 係数 |
1 | 1.00 |
2 | 1.06 |
3 | 1.10 |
4 | 1.14 |
5 | 1.18 |
6 | 1.22 |
7 | 1.26 |
8 | 1.30 |
9 | 1.34 |
10 | 1.38 |
15 | 1.61 |
20 | 1.94 |
例えば10kgの重量で、反復回数が8回なら、係数が1.30
10kg×1.30 → 13kg
最大筋力(1RM)は13kgとなります。
この方法であれば、リスクを押さえてひとりで計測できますのでおススメです。
※参考に詳しい1RM・最大筋力測定はこちらから
目的別のセット数の算出
3つの目的別に、重量と回数、セット数を選びましょう。
先ほどの最大筋力がココで必要になります。
筋力・パワーアップ | 最大筋力の80% | 8回 | 3セット |
筋肥大 | 最大筋力の70% | 15回 | 3セット |
筋持久力 | 最大筋力の50% | 20回 | 3セット |
例えば、最大筋力が13kgで、目的が見栄えをよくする「筋肥大」ならば・・・
最大筋力の70% × 15回 3セット
なので
最大筋力が13kg × 70% → 設定する重量 9.1kg
つまり
重量9.1kg×15回を3セット
が筋肥大の人のメニューとなります。
※参考:詳しい「目的別の負荷と回数の求め方」はこちらから
フロント・プレスのよくあるQ&A
・脚の反動を使わないと持ち上がらない
肩のトレーニングですから、足の反動の利用は肩周辺の筋肉への負荷を弱めてしまいます。
重量をやや落として、反動を使わずに行うようにしましょう。
・肩が痛い
重量に関わらず特定の角度で肩の痛みを感じるようでしたら、このメニューは中止しましょう。
医師やトレーナーに、どの角度で痛みを感じるのかを伝えて、対処を相談しましょう。
フロント・プレスのポイントまとめ
フロント・プレスのやり方まとめ
1、オーバグリップで肩幅で握る
2、バーを鎖骨の上にセット
3、両肘をバーより少し前方に出す
4、腰と脚はまっすぐに伸ばす
5、バーベルを頭上に真っ直ぐ伸ばす
6、腰が反らないようにする
7、頭上まで持ち上げてキープ
8、ゆっくりと下す
9、バーを鎖骨の上に戻す
フロント・プレスのポイント
・腰の損傷を防止するために、上体を反らさない
・ゆっくり下すこと
フロントプレスは重量を上げられるようになると嬉しいものです。
手段だった筋トレがいつの間にか重量目的に切り替わることも。
そうなれば儲けもの!筋トレが習慣へ、そして楽しい趣味へ変わっていきます。
そんな筋トレを楽しむ入り口としてフロントプレスへの取り組みをオススメしたいです。
よい筋トレを!