腹斜筋脇腹エリアをカバーする腹斜筋は正面からの見栄えを引き締めるアクセント。しかし腹斜筋を鍛えたいのにメニューの少なく嘆く人もいるでしょう。実際は腹斜筋を鍛えられるトレーニングは視野を広げれば非常に豊富。多様なジャンルから集めた15種類の豊富なメニューをお伝えします。

理想の腹斜筋を持つ男女4人

ツイストクランチ中の腹斜筋は本来のカタチをハッキリみせつける。割れた腹筋を際立たせる名わき役。

ソフトくびれから腹斜筋が見え始める体系へ変化している。斜めの筋肉ラインが腹斜筋の存在を語っています。

脇腹だけ注目してみると「膨らみの象徴」から「凹みの演出役」へと正反対の役割に変わっています。脇の下になかった空間が肉体改造後に出現しています。ちいさな女の子が見えますか?

腹斜筋の威力を最大限に説明してくれる一枚。脇腹ってこうなっているんだ・・・と新鮮な驚きがあります。女性にとっても男性にとっても腹斜筋は肉体美の重要エリアなのは間違いありません。

 

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腹斜筋をサッと復習する

腹斜筋は脇腹エリアに分布する筋肉で鍛えると脇腹エリアに膨らみが見えるアウターマッスル。内腹斜筋と外腹斜筋の2種類で構成されています。肋骨の上から脇腹全体を包み込んでおり、お腹を引き締める天然のコルセット。弱まるとお腹が前に張り出す要因に。作用は上体の捻りによって発生しますから、トレーニングポイントも「捻りの深さ」と「作用発生時における上半身と下半身のタイムラグの活用」が重要になります。

  • 脇腹エリアに分布する筋肉
  • 内腹斜筋と外腹斜筋の2種類で構成
  • お腹を包み込む天然の脇腹コルセット
  • 弱まるとお腹が出てしまう
  • 捻りの動きで作用する

詳しい解説:腹斜筋が見てわかる!筋肉図解7選

 

腹斜筋を鍛えるメリット

腹斜筋が肉体美に及ぼす効果を効能順に並べました。

お腹を凹ませる ★★★
もっとも効果を見込まれるのがお腹を凹ませる効果。脇腹の左右両サイドから肋骨の上から内側に向けて内臓を押しんでいます。さらに奥にある腹横筋と合わせて鍛えれば、お腹の出っ張りを抑える力が高まります。腹横筋の解説:

くびれづくり ★★★
内側への引き締め効果と相まって、腹斜筋の筋肉形状の特徴がくびれ感をさらに演出してくれます。脇腹を斜めに走る筋肉模様は視覚効果として腰回りを細く力強くシャープな見栄えに。腰回りをキュッと引き締める力と筋肉の流線紋様という二重の相乗効果がくびれをつくるのです。

ハード腹筋の引き立て役 ★★☆
腹筋を割れた状態に見せるのは腹直筋、その両サイドを担うのが腹斜筋。腹筋割りもレベルがあり、割れただけならソフト腹筋であり、両サイドの腹斜筋まで浮かび上がると上位レベルである「ハード腹筋」が出来上がります。腹斜筋の大きさに悩みはじめたら既に相当なボディになっているでしょう。

ダイエット効果 ★☆☆
ダイエットに及ぼす効果は、その筋肉の大きさ。腹斜筋の体面積は身体中ではミドルレベルで、大きくはないけど、小さくもありません。そのため、ダイエット効果は★一つとさせていただきました。

 

 

腹斜筋トレーニングのポイント

捻りを加える動き
腹斜筋は上半身を捻る動きで力を発揮します。力の内容は、重量的なパワーより、下半身と上半身を上手に連動させるコントロール能力にあります。テコの作用を最大限に生み出すタイミングであり、それを実現するスピードがカギを握ります。ですから、トレーニングの際には、重量よりもフォームの軌道、タイミング調整、スピード養成の3つの比重が高くなります。

エクササイズ系のトレーニングが有効
いわゆるレジスタンス系のトレーニングを筋トレと据えがちですが、腹斜筋の養成に関しては、ジャンルを超えて取り組むといいでしょう。特に全身運動系のトレーニングは非常に効果的です。

スピード&パワーの両輪で攻める
重量を使って行う筋トレ的なメニューと機動性を高めるエクササイズ的なメニューの両方を取り入れるのがベストです。最初は機動性を高める基本筋肉の養成を、それから重量を使えるメニューへ、そしてスピードを養成すべく運動系を取り入れる。基礎→重量→スピードがオススメの育成プロセスです。

 

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腹斜筋を鍛える!全トレーニングメニュー一覧

腹斜筋を鍛える全てのトレーニングメニューをレベル別にまとめました。
まずLevel1から行い、フォームの確立と目標セットの達成が出来たら徐々に上位レベルのメニューに移行していきます。いきなり上位メニューを行うと、基本の動きさえ全く出来ず、モチベーションが下がるので、ひとつのレベルを確実に制覇しながら攻めていきましょう。

Level1 Level2 Level3
G サイドプランク
G ツイストクランチ
G ロシアンツイスト(自重のみ)
D ロシアンツイスト(重量あり)
G バイスクル・クランチ
G サイドクランチ
G サイド・ヒップアップ
G V字腹筋
G ドラゴンフラッグ
D サイドベンド
D 腹筋ローラー(膝つき)
D 腹筋ローラー(一直線)
F ツイスト・ステップ
F 中段キック
F 正拳突き
F 2to1パンチ

 

○:推奨
◎:そのレベルでは強度が高く効果があるので是非取り入れてほしいオススメメニュー

G:道具なしでできるトレーニング
D:ダンベルやバーベル・腹筋ローラーなど器具を使用
F:エクササイズ・ファンクショナル系

 

体幹トレーニング系の腹斜筋メニュー

サイドプランク

サイドプランクカラダを横向きに一直線にして片手で体勢をキープしつづける体幹トレーニング。横に体勢をキープし続けるには腹斜筋と腹横筋の力が必要であり、時間がたつにつれて脇腹への圧迫が強くなってきます。くびれづくりの最初に取り組むべきオススメのメニュー。

 

自重トレーニングの腹斜筋メニュー

ツイストクランチ

上体を捻る動きを加えた腹筋運動。斜めにカラダを持ち上げる際に腹斜筋に対してダイレクトに負荷がかかるのが体感できます。強度は比較的高いメニューのため中級者向きですが、効果が高いのでなるべく早い段階から取り入れたい。フォームによって強度を変えられるので、初級者向けのやり方をチェックしてほしい。詳しい解説は「ツイストクランチのやり方」をご覧ください。

ロシアンツイスト

ツイストクランチの動きをより捻り重視に特化したメニュー。上体を起こした状態で、腰を回して捻るを発生させます。ダンベルやバーベルなどの重量を持って行うのが基本刑で、強度をどんどん高められるのが利点。腹斜筋を鍛える最上位のメニューと言えるでしょう。

バイシクル・クランチ

仰向けになって足を自転車を漕ぐようにグルグル回すメニュー。足の動きに合わせて、まるで歩くように上体を少し浮かせればバイシクル・クランチの完成です。足と手の上体の傾きを連動させるためには腹斜筋の作用が必要。空中を歩くような感覚が面白いので是非一度お試しあれ。

サイドクランチ

横向きになった体勢から上体を持ち上げる腹筋運動。

立って行うパターンもある。

サイド・ヒップアップ

女性に人気が高いくびれづくりのメニュー。肘を支点にして横向きになって体を一直線へキープさせます。この時腰は空中に浮いた状態にして準備完了。腰をゆっくりと床に落としていき、床に着いたら再び元の位置に持ち上げます。腰を横方向にクイクイさせるイメージ。足がすべらないとやりづらいため、タオルを足から腰にかけて引くとやり易くなります。テレビを見ながら出来る有能なエクササイズでもあります。

V字腹筋

V字腹筋

カラダを一直線にした仰向けの体勢から、腰を起点にして両足と上体を持ち上げます。横から見たらV字を描くように、足も背も真っ直ぐにキープしつづけます。強度が高いメニューのため、Level1の腹筋トレーニングが達成できてから取り入れるといいでしょう。

ドラゴンフラッグ

腹直筋を鍛えるメニューとして有名なドラゴンフラッグですが、腹斜筋の体制維持能力で最大限にサポートしてもらわなければ出来ません。腹斜筋はもちろん、腰まわりの筋肉をすべてを鍛えられるLevel3の最上位メニューです。詳しい解説は「ドラゴンフラッグのやり方」をご覧ください。

 

ダンベルの腹斜筋メニュー

サイドベンド

脇に添えたダンベルを横腹の力を利用して持ち上げるメニュー。動作の特徴上、作用してしまう筋肉群が多いため、意識して腹斜筋に効かせるようにフォームを調整することがポイント。ダンベルを利用できるなら外せないメニューです。

 

専用器具を使った腹斜筋メニュー

腹筋ローラー

腹筋ローラーという専用器具を使って行う腹筋運動。体勢をキープする・体を上下に動かす動力源として腹斜筋が活躍します。比較的強度が高いため中級者向けのメニューですが、膝をつけておこなうことで強度を弱められます。膝つきで基礎筋力をつけてから取り組むといいでしょう。

 

エクササイズ系の腹斜筋メニュー

ツイスト・ステップ

立った状態で片足を腰の高さまで持ち上げて、上体に捻りを加えるエクササイズ。この動きを左右交互に行います。サッカー日本代表の練習風景でよくみられます。腰・股関節まわりのストレッチ効果もあり、準備体操にうってつけ。腹斜筋が弱っていると足の持ち上げがスムーズにいかないので、腹筋運動が厳しい方はツイストステップからはじめましょう。

中段キック

キックはあまり指摘されないながらも腹斜筋を鍛えるメニューのひとつ。特に腰より高い位置を狙う中段以上のキックは腰を捻るコントロール力が必要であり、腹斜筋を上手く力のベクトル上に載せられると威力のあるキックになります。腹斜筋の収縮スピードと周辺筋肉との連動性を高めるトレーニングメニューです。

正拳突き

空手の正拳突きは、腰の捻りを最大限に活用・強化するトレーニングメニュー。テレビで空手選手が瓦割りをする際に、片手を前に伸ばし、もう片方の手を脇腹に添えて、腰を落とした独特な構えを見せます。あの体勢が準備のポーズであり、そこから腰を回し反動を利用してパンチを繰り出します。正拳突きは万能性のある究極のトレーニングのひとつであり、是非取り入れて欲しいと願っています。

簡単にやり方の流れをお伝えします。

胸を張って背筋を伸ばし、
軽く足を開けて、
腰を中腰にかがめます。

手をグーにして、
脇腹に手の甲を下向きにして、
もう片方の手は前方へ伸ばして構えます。

脇腹に手の肘をやや後方に引き
上体をやや横向きにしてから
一気に腰を反対に回し
腰回りから発生したパワーに
腹斜筋の捻りのパワーを加えて
手の甲が最終的に上向きになるよう
手を回しながら
前に一気に突き出します。

文字にするとどんどん分かりなりました。空手経験者に是非一度「正拳突きを教えて」とお聞きください。その内容の濃さと効能に驚き「正拳突き」の素晴らしさに気づかれるでしょう。

2to1パンチ

ボクシングの「左ジャブ・左ジャブ・右ストレート」という一連のパンチの繰り出しは、腰の捻り力を高めるトレーニングとして最適です。パンチの左右の切り替わりと同時に、腹斜筋への届く切り返りの反動圧力はスピードが上がれば上がるほど、パワーを増していきます。

左ジャブ・左ジャブ・右ストレート
右ジャブ・右ジャブ・左ストレート

という繰り返しを取り入れてみてください。腹斜筋へのダイレクトな負荷が、くびれづくりに最適なことを体感されるでしょう。

 

 

腹斜筋はフォームの美しさを追う

腹斜筋は筋肥大を求めるより、機能性を高める方に比重が置いた方がよいと考えています。その理由は2つ。

ひとつは、腹斜筋の本質的な特徴を鑑みると機能性の方が重要であるだから。腹斜筋は腰の捻りに代表されるように、上半身と下半身の動きを統合する働きがあり、その能力は重量的な力ではなく、スピード・体のコントロール力といった運動神経に関わる要素の方がより重要でしょう。例えば正拳突きでの腹斜筋は力を増幅させる役割があり、運動性能の向上が威力に繋がっていきます。

もうひとつ理由は、腹斜筋は筋肥大であまり大きくならず、脇腹に浮かび上がらせるには体脂肪の減少の方が必須条件であるから。体脂肪率は腹筋割り以上に低くレベルにしなければなりません。

この2つの理由から、腹斜筋の鍛え方は過度な筋肥大を狙うのではなく、適度を狙うのがベストだと考えます。肉体の機動性・連携性を高めることを主眼としていれば、結果として適度な筋肥大は充分達成できるでしょう。

ですから、腹斜筋のトレーニングの指標は重量・回数ではなく、より美しいフォームでやれるようにすることがひとつの目安です。例えばツイストクランチなら、より深く、よりブレがなく、よりスムーズにできる。重量や回数・時間ではなく、そんな体操のような美しさを求めるのがいい方法だと考えます。数値化されない目標は象徴的過ぎて、ボンヤリしすぎだろ!と言われるでしょう。でもこのボンヤリ式の方が腹斜筋の見栄えは良くなると結論づけます。

腹斜筋だけは、他の筋肉のように過度に重量・回数・時間を追わずに、トレーニング種目ごとの動きの美しさを目指しましょう。

いい腹斜筋を!